2003年8月リリース
寺田町with橋本潤
「U」

【@】 三日月にかかるドーナツ
【A】 狭い路地から見上げた空はまるで奇跡のように青く広がる
【B】 おやすみ
【C】 あの娘はいつも俺に「馬鹿ね」ってやさしく言うのさ
【D】 お前の居場所
【E】 月下狂詩曲
【F】 俺のお月様
【G】 こいつはリアルでロマンチック
【H】 天使の歌
【@】三日月にかかるドーナツ

俺のバラに朝のしずく
約束は守られなかったけど
今ここにもうひとつ新しいのがある

あの日夜中タクシーで
お前はやってきたんだ
今思うと俺とそこで出会うために

今夜 今夜 お前に新しいガラスの靴
今夜 今夜 明けて新しい朝

小心者の俺ときたら
何ひとつ捨てられやしなかった
旅暮らしがお似合いで
月末にはいつもからっけつ

そんな俺でも毎晩毎晩
激しく夢を見るんだ
三日月にかかるドーナツ
それとお前の夢を

今夜 今夜 お前に新しいガラスの靴
今夜 今夜 明けて新しい朝

盗んだ夢を水でうすめ
もうずっとやってきた
あの頃お前はいくつだった?
そんなこと知ったこっちゃないよな

こっちへ来てくれ
目を見せてくれ
その唇でささやいてくれ
くりかえし くりかえし
夢見たのはお前のこと

今夜 今夜 お前に新しいガラスの靴
今夜 今夜 明けて新しい朝


【A】狭い路地から見上げた空はまるで奇跡のように青く広がる

狭い路地から見上げた空は
まるで奇跡のように青く広がる
ブリキの空き缶 片目の野良猫
名前も知らない花が咲いてた

ガキの俺には世界はでかくて
どこから触ってみたらいいのか
誰かが笑って誰かが泣いてた
路地にはラジオが鳴り響いてた

塀の落書き 空き地のタンポポ
けだるい午後の蜂の羽音
月が上がるまで遊びつづけろ
隠れ家 誰にも教えちゃだめだ

こうもり飛ぶ頃待ち合わせたね
昼間と違って不思議な気分
北斗七星 初めて見つけた
女の子って不思議な生き物

子犬を拾って帰ったときは
土砂降りにやられずぶぬれだった
背中の羽根が湿ったみたいに
俺もそいつも抱きしめあってた

狭い路地から見上げた空は
まるで奇跡のように青く広がる


【B】おやすみ

おやすみ
君はまだ知らない
この世の闇の深さを
支える腕があるなら
よりそい目を閉じればいい

おやすみ
君はまだ知らない
この世の波の高さを
流れる髪を揺らして
さざ波に身をゆだねればいい

窓には月
夜の雲が空を流れる
君の 君だけのキャンパスに
描いてごらん それを

おやすみ
君がまだ知らない
名前も持たぬものたちを
おしえてあげるよ 今夜
君のその夢の中で


【C】あの娘はいつも俺に「馬鹿ね」ってやさしく言うのさ

旅から帰ってくると
あの娘に電話をするのさ
世界の果てにでも
あの娘がいってしまったみたいに

あの娘はいつも俺に
「馬鹿ね」ってやさしく言うのさ
「私はいつもここであなたを想っているわ」

霧の深いある夜に
俺はまた酔っ払ってしまった
まるでみなしごみたいに
あの娘に膝で泣いた

あの娘はいつも俺に
「馬鹿ね」ってやさしく言うのさ
「私はいつもここであたなを想っているわ」

馬鹿みたいに 馬鹿みたいに 馬鹿みたいに
俺は泣いてしまうんだ 馬鹿みたいに...

旅先の小さなホテル
窓から月を見てた
同じ月をもしかしたら
あの娘も見上げているのかと

あの娘はいつも俺に
「馬鹿ね」ってやさしく言うのさ
「私はいつもここであたなを想っているわ」


【D】お前の居場所

お前は何処にいたって
ここに帰ってくるのさ
お前の居場所はここ
俺の胸の中

お前は何処にいたって
落ち着けないのさ
お前の居場所はここ
俺の胸の中

呪いにかかったように
TATOOを入れたように
お前の居場所はここ
俺の胸の中

たとえば雨の月曜でも
嵐のいかした夜でも
お前の居場所はここ
俺の胸の中

三日月 満月 おぼろ月
ほうきの星が流れる
お前の居場所はここ

お前は何処にいたって
ここに帰ってくるのさ
お前の居場所はここ
俺の胸の中


【E】月下狂詩曲

ビルの向こう側に砂漠が広がる
夜の幻があたりを浸す頃

黒に近い青の空をよぎる影
あれはこうもりか
でなきゃ魔女の生き残り

オートバイにまたがる大きな月が
この街の真上で俺たちに笑いかける

ピンクのピストルをお前は俺に向け
夜の真ん中で俺の胸を撃った

ビルの向こう側に広がる あれは海
耳を済ませれば人魚が歌ってる

赤と白のワイン 薄い黄色のぺルノー
飲み干すそのときに
グラスを打ち鳴らせ

夜空に無数の穴が空いちまった
銀紙みたいな星が俺たちに降り注ぐ

ピンクのサキゾフォン お前は粋にかまえ
夢の真ん中で俺に吹き鳴らす


【F】俺のお月様

だんだん小さくなってゆく
お前の影法師
今日はもう終わりだけど
明日また会えるね

俺は今日も飲んだくれて
星にウィンクを
お前は俺のお月様さ
とびきりぴかぴかの

さんさんと陽が降り注ぐ
朝にお前に
俺は電話をかける
「おはよう、おやすみ」と

俺は今日も飲んだくれて
朝焼けにキッスを
お前は俺のお月様さ
淡い光のね

沈み込むときもあるさ
降り止まぬ雨のように
そんなとき振りむけば
そこにお前が

俺は今日も飲んだくれて
歌を歌ってる
お前は俺のお月様さ
まあるい、やわらかな


【G】こいつはリアルでロマンチック

こわれたベットの上で
俺たちは抱き合った
午前5時40分
もう夜が明ける
プラットホームに朝日が
俺たちを照らす

こいつはリアルでロマンチック
こいつはリアルでロマンチック
こいつはリアルでロマンチック

ちぎれたロマンをつないで
物語を作ろう
上機嫌、お前の笑顔
何でもできる
プラットホームで泣いてた
あれは昨日のカラスさ

こいつはリアルでロマンチック
こいつはリアルでロマンチック
こいつはリアルでロマンチック


【H】天使の歌

街の中にいても君は
森に続く道を見つけ
小さなその手で俺の手を引き
俺の両手から鎖をほどく

夜の中にいても君は
朝に続く道を見つけ
幼い瞳で俺を見つめ
俺の両目からヴェールを奪う

何故だろう どうしてだろう
そんな風に君がいるのは
何故だろう どうしてだろう
こんな風に君を知るのは

君の中にいると俺は
天に続く道を見つけ
幼い頃 俺をみちびき
俺の懲役の罪を許す