![]() 【暁と夕べに】 1 夢のかけら 2 夜明け色のトンボ玉 3 何もかもごちゃまぜ 4 明日は月の上で 5 あの夏の日のように 6 痩蛙と紫陽花の葉っぱ 7 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 8 通り過ぎた夏 通り過ぎた冬 9 初恋みたいな 1 夢のかけら 窓から射し込むネオンサイン 夜にも眠らないこの街にいて いくつも見逃した夢のかけら 真夜中手の平に並べてみる あの日降り出した雪の中を 傘を放り出して走ったことや 役にも立たないビー玉を 握りしめて泣いたことや 昼の日中 行ったり来たり 友だちは今も風の中に それでも見逃した夢のかけら まどろむ手の平に並べてみる 別れのキッスを坂道に残し 駆け出し消えた少女の影や カバンひとつに想いをつめて 旅立ったあいつのことや いつも何かを想い出させる 夕陽の色を照り返す アスファルトに転がる夢のかけら 歌のように並べてみる 歌えなかった歌を喉につまらせ うつむいてしまった夜のことや 言葉もいらずに 微笑み交わした朝のことや 2 夜明け色のトンボ玉 夜明け色のトンボ玉 日記には鍵をかけて 祭りの夜 月の影で あの娘を抱きしめたよ また旅に出かけるけど 同じ月を見ているよ 膝枕 つよい陽射し かばうように見ていたね 木もれ日のオアシスで あの娘の影の中で また旅に出かけるけど 同じ月を見ているよ ビル街に木枯らしが 吹きぬける12月 あの娘の手の中に 包まれるしあわせよ また旅に出かけるけど 同じ月を見ているよ 3 何もかもごちゃまぜ この石だたみの舗をもういちど君と 歩くことになるだろう そんな気がする 黄色い月の照らす大きなこの街を 俺は肩をすぼめ一人歩いてた やけくそのような呼び込みの声に かき消されそうな想い抱えて ざわめきの中でピストル抜くように 缶ビールのトップに指をかけてみた まるで何もかもごちゃまぜ まるで何もかもふり出しさ 厚化粧の占い師 歯の欠けたホーボー 街の微熱冷めやらず 踊ってる女 いつか「ずっと」と約束した筈さ 街の手触りを今も憶えてる カードはいつかバラバラに切られ ジョーカーはいつもにやにや笑ってる ここに立つとなんだかよく見える ここに座るとますますよく見える まるで何もかもごちゃまぜ まるで何もかもふり出しさ この石だたみの舗をもういちど君と 歩くことになるだろう そんな気がする スモッグが切れて こんな街にも まばらに星が見える夜もある まるで何もかもごちゃまぜ まるで何もかもふり出しさ 4 明日は月の上で (A Demain Sur La Lune)by Adamo 日本語詞・岩谷時子) 明日 月の上で 神様のそばで 明日 月の上で 大空の隅で 二人は馬車に乗り 幼いとき夢に見たものを探しにゆこう 私たちには風はマジシャン 星のシンフォニー奏でるミュージシャン 明日 月の上で 月の空から クリスマスの飾りみたいな地球を見よう 赤い屋根も見えて 夢のように 二人の髪は風に揺れる 明日 月の上で 美しい晩 風のヴェールに包まれながら眠るあなたよ 私は歌う 子守唄を 目覚めを待って抱きしめよう 明日 月の上で 5 あの夏の日のように -ジョージさんの港とおじいの海に- 遠い街の夏の夜明け 稲妻のような朝の光 俺たちは歩いた露地の奥を まるで何かにみちびかれるように 市場は今日は休みなので 野良猫たちもまどろんでいる 何処かに隠した宝物を 探しにゆくような気分 あの夏の日のように 今でも俺たちをかきたてる この帆柱はとうに なぎ倒されていたとしても 影が濃さを増す露地の奥を 俺たちはあてもなく彷徨い歩いた 港からの潮の香りが ここが何処だか思い出させる 遠い海を渡ってゆく あの大きな船の汽笛 こんな露地で聴いていると 酔っぱらってしまいたいよな気分 あの夏の日のように 今でも俺たちをかきたてる この帆柱はとうに なぎ倒されていたとしても 遠い街の夏の日暮れ まだ何処へも帰りたくない気分 調子外れの歌を口ずさみ もう一杯空けてしまおう あの夏の日のように 今でも俺たちをかきたてる この帆柱はとうに なぎ倒されていたとしても 6 痩蛙と紫陽花の葉っぱ -鳴海章氏の小説「痩蛙」のチエ子のために- あなたに嘘はつかなかった さばよんだ歳のこと以外 あなたはいつだって何にも わかっちゃいなかった まるで 私にはよくわかってた あなたが「男」だってこと 痩蛙をそっと載せる 紫陽花の葉っぱになれたなら 降りしきる雨さえも あなたといっしょに笑いたい こんな街で生きるのは 旅をしているようなもの あなたが帰ってゆくとこが 私のこの胸だったなら あなたはいつもここにいる 私もあなたのそばにいる 痩蛙をそっと載せる 紫陽花の葉っぱになれたなら 降りしきる雨さえも あなたといっしょに笑いたい 7 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 真夜中のこんな時刻 人に道を尋ねるには遅い 一人ベッドにもぐり込むには早い いく度も過ごした夜 初めて迎える朝 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 真夜中のこんな時刻 星に道を尋ねるだなんて 月に明日を占うだなんて いく度もすれ違い 初めて出逢えたんだ 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 真夜中のこんな時刻 お前に尋ねてみたいものだけど お前はきっと笑うだけだろうな いく度も過ごした夜 初めて迎える朝 踊るようにお前に逢いにゆきたいと思う 真夜中のこんな時刻 真夜中のこんな時刻・・・ 8 通り過ぎた夏 通り過ぎた冬 通り過ぎた夏 通り過ぎた冬 君が一人でいたのを俺は知ってる 誰一人いない湖のほとり 君が一人でいたのを俺は知ってる できれば君を ひまわり笑う丘の上へと 連れてゆきたかった できれば君と何か分かち合いたかった 言葉でも空気でも朝の光でも もっとずっと もっとずっと 愚かな俺の心に響く 今も君の特別な何か 通り過ぎた夏 通り過ぎた冬 今も俺は君といたい 誰一人いない凍てついた通りに 君が一人でいたのを俺は知ってる できれば君と何か分かち合いたかった 言葉でも空気でも朝の光でも もっとずっと 9 初恋みたいな 俺が今まで出逢った中で いちばん変わった女の子 それがお前で お前が今まで出逢った中で いちばん変わった男 それが俺さ 時間はあっという間に過ぎてしまい 喫茶店は店閉まい 何処へゆこう 空にぽっかりと月 少し歩こうか 花の色とか雲のかたち それほど気にしてなかったよ お前と逢うまで どこか懐かしいその香り なぜか懐かしいよなその笑顔 名前もつけられない時間の中で 名前もつけたくない時間の中で 空にぽっかりと月 少し歩こうか もっとずっと |