![]() 1.ななめにかしぐオリオン座 2.海が知っている 3.Old Folks 4.いつかそこへ 5.その雨が降るまでは 6.ダンス・ダンス・ダンス 7.スクラッチノイズのすきまから 8.もうすぐ ------------------------------------ 1 ななめにかしぐオリオン座 ななめにかしぐオリオン座 季節はまた過ぎた 君は今も霧の降る あの街に住んでるだろうか 朝に震える少女のこと 夜におびえる少年のこと 君は今もきっと 祈るように歌ってるだろう まばたきもしないで 朝陽を見つめてた 一言も話さずに 夕陽を見つめてた 鉛筆の削りかすを 少しずつためておいて 風の強い特別な日に 高い窓から空へまいて 風の吹くその先が いったい何処なのか そしてそこに何があるのかを 知りたいと思ってたんだね まばたきもしないで 朝陽を見つめてた 一言も話さずに 夕陽を見つめてた たったひとつの月が いくつもいくつも上り たったひとつの月が いくつも消えていった あの丘に立つ桜の木 今年も咲くだろうか その花を見上げる人は いったい何を思う まばたきもしないで 朝陽を見つめてた 一言も話さずに 夕陽を見つめてた ------------------------------------ 2 海が知っている いつもここに戻って来てしまう 夜のいちばん深いとこ なぜかここに来てしまう 朝のつぼみの光るとこ 満ちては欠けてく 月が見てる 満ちては干いてく 海が知ってる ハイウェイのうなる音 浅い眠りの中で聴いていた 旅に出るのは俺なのか それとも遠い君なのか 満ちては欠けてく 月が見てる 満ちては干いてく 海が知ってる 祭りのあと夜明けに 俺の頭に手をおいて 眠りなさい 今日は あなたはそうやさしくささやいた 満ちては欠けてく 月が見てる 満ちては干いてく 海が知ってる いつもここに戻って来てしまう 夜のいちばん深いとこ なぜかここに来てしまう 朝のつぼみの光るとこ ------------------------------------ 3 OLD FOLKS 橋の上から見ているよ 黄昏の川べり ここからでもはっきりと見えるよ 奇跡のような焚き火の炎 鉄橋を渡ってゆく 列車の刻むリズム 名前も知らぬ人たちを乗せて 見知らぬ街目指す 夕闇に塗りつぶされまいと 踊る色とりどりの 炎が照らし出しているよ 男たちの黙り込むシルエット 風冷たく川面に それでもまだ微かに 何かの合図のように消え残る あの灯火映える ------------------------------------ 4 いつかそこへ そんな切ない声は聴いたことがない 受話器の向こうで星が流れた気がした いつかそこへ 知らない街だけど 訪ねてゆきたいと思う こんな冬の夜の底 沈み込む月が好きだ まるで答を知ってるみたいに 俺に微笑んでみせる 遠い街をいくつも旅して きらめく河をいくつも渡り いつかそこへたどり着けたらと そこが何処だかわからないけど どんな光 どんな色が そこに広がっているのだろうか そこは俺がたどり着くところ? それとも帰ってゆくところ? あんな切ない声は聴いたことがない 受話器の向こうで星が流れた気がした ------------------------------------ 5 その雨が降るまでは 昔この橋のたもとでどんなことがあったのか あの空は憶えてる この川は知っている 少女は恋をしていた バレリーナを夢見ていた 少年は恋をしていた 誰のことも傷つけたくなかった 夜毎かたちを変える月 窓越しに眺めては 不器用な手足の先に 星は流れ想いを募らせた 昔この橋のたもとでどんなことがあったのか あの空は憶えてる この川は知っている 父さんのことは知らない どこか遠くの国に 母さんのことは知らない よく知ってる筈なのに 少女は何も尋ねない ただ隠れて踊ってる 少年はいつも微笑む ただ見てるのが好きなんだ 昔この橋のたもとでどんなことがあったのか あの空は憶えてる この川は知っている いやなやつが来たので 彼女は走り出す いやなやつから友だちを ただ守りたかったんだ 子犬は走りまわってた 彼の後についてきた 子犬だって笑うことはできる 彼がいつもそうするように 昔この橋のたもとでどんなことがあったのか あの空は憶えてる この川は知っている いつものように朝はやってきた いつものようにみんな出かけてゆき 空はまぶしく川は輝いていた いつもとは違うその雨が降るまでは 昔この橋のたもとでどんなことがあったのか あの空は憶えてる この川は知っている ------------------------------------ 6 ダンス・ダンス・ダンス 階段の踊り場で あの娘にキスをしたんだ パーティはもう終わり 人の波もくずれ 夢のかたちの輪郭も 煙草の煙にかすんで それでも俺たちは踊りつづけたんだ それでも俺たちはもとめつづけたんだ ダンス ダンス ダンス・・・ 土砂降り雨の深夜 小さな傘ひとつに 小さな肩を抱いて 小さな夢を抱いて 街灯りさえ煙り 何処へゆこうっていうんだい それでも俺たちは踊りつづけたんだ それでも俺たちはもとめつづけたんだ ダンス ダンス ダンス・・・ 夜明け前 いちばん深い 闇の色に 抱かれていたよ ダンス ダンス ダンス・・・ モノクロのような街の あの角を曲がるまで 人波に見えかくれ 手をふることもせずに ずっと見送ってたね 何の約束もなく それでも俺たちは踊りつづけたんだ それでも俺たちはもとめつづけたんだ ダンス ダンス ダンス・・・ ------------------------------------ 7 スクラッチノイズのすきまから そこにずっと立ってられるんだって思ってたのかい? 壁は煙草のヤニだらけ ビルは違法建築 ニューシネマなんてもう誰も見ない 旗を振ってたやつは今じゃうまく立ちまわってる カウンターの中 あんたは今でもきつい煙草に火をつける 誰もそんなに強くはないんだ アナログレコードの溝が歌う 誰もそんなに強くはないんだ スクラッチノイズのすきまから 想い出の重さに負けないように背筋を伸ばし カウンターを磨く 眼鏡の奥の瞳 テキーラストレートなんてもう誰も飲まない あのベトナムはお祭りなんかじゃなかったぜ カウンターの中 あんたは今でもきつい酒に口をつける 誰もそんなに強くはないんだ アナログレコードの溝が歌う 誰もそんなに強くはないんだ スクラッチノイズのすきまから 夜明けはいつも酔いまぎれてやってくる 明日なんてないんだ いつも「今日」だから ラブ&ピースだって? 今だに戦争だらけ 俺の胸にはあのとき穴があいちまったままさ カウンターの中 あんたは今でもきついジョーク口にする 誰もそんなに強くはないんだ アナログレコードの溝が歌う 誰もそんなに強くはないんだ スクラッチノイズのすきまから ------------------------------------ 8 もうすぐ お前の首から背中、腰へと 流れるメロディーをたどり どこまでもゆけるような気がした 夜と朝のそのすきまで お前の瞳に満月が光り おぼれそうな俺をみちびいてくれる いつか夢で見たことがあるような こんなとこでお前に出逢うなんて もうすぐさ もうすぐ逢いにゆくよ お前の海の砂浜に手の平をおいて 熱く灼ける砂を感じよう 太陽の落ちてく音を聴きながら 死んでは生まれる歌を歌おう お前の海の砂浜に指をさして 熱く湿る砂を感じよう 月が満ちてく声を聴きながら 死んでは生まれる歌を歌おう もうすぐさ もうすぐ逢いにゆくよ もうすぐさ もうすぐ逢いにゆくよ |